高松市は,四国の北東部,香川県のほぼ中央に位置する香川県の県庁所在都市です。北は国立公園の瀬戸内海に面し,南は緩やかなこう配をたどりながら,讃岐山脈に連なる風光明媚な自然に恵まれた,人口約42万人,面積約375の中核市です。
 本市の中央商店街を代表する全長470mの高松丸亀町商店街は,天正16(1588)年に生駒親正が高松城の築城に合わせて大手門前に,丸亀城下(現在の丸亀市)の商人を呼び寄せたことで丸亀町の町名が名づけられ,江戸時代から商業の中心として栄え,道行く人々の肩がぶつかり合うほどのにぎわいと活力のある県内髄一の商店街として発展を続けてきました。
 高松丸亀町商店街振興組合(以下「丸亀町商店街」という。)では, 昭和63年の高松城築城400年に合わせて「開町400年祭」を開催し,108日間に及ぶロングイベントで賑わいました。 しかしながら,中央商店街では,昭和50年代後半頃からモータリゼーションの進展や市民ニーズの多様化, 郊外型店舗の相次ぐ出店などにより,商店街の歩行者通行量の減少が見られるようになりました。 このため丸亀町商店街では,ロングイベントに街全体が賑わう中,「次の500年祭を迎えられる商店街づくり, 100年先を見据えたまちづくりへ」との理事長の発声により,青年会を中心に将来の商店街づくりに向けた調査・研究が進められました。 そして,平成3年3月に,商店街をAからGの7街区に分け,各街区が個性と役割を持つ商店街全体のまちづくりの基本方針である 高松丸亀町商店街再開発計画を策定され,まずA,G街区において再開発事業がスタートしました。
   
 平成6年,過去4年間の調査やワークショップなどの積み重ねから,丸亀町商店街としての基本コンセプトとサブコンセプトが決定され,これを受け,A街区としてのキーワードが作られました。
 A街区全体としては,お洒落なヨーロッパのまちのような雰囲気の店舗をイメージし,本来商店街が持っている顔の見えるつながりを大切にし,親しみやすく,しかも個性溢れる専門店,中階には緑豊かな花壇を配置し,上階の住宅は心地よい自然と触れ合え,自らの生活を楽しめる空間を創造するコンセプトとしています。
(1)事業概要
 丸亀町商店街のA街区では,平成6年1月に市街地再開発準備組合を設立後,再開発事業の推進に向けた取組がなされ,13年3月に約0.4haの区域において都市計画決定を受け,14年11月に市街地再開発組合が設立されました。また,15年11月には,民間事業者ノウハウを導入するとともに事業リスクの分散化を図るため,特定業務代行者を選定しました。そして16年4月には,特定業務代行者の提案を盛り込んだ施設計画に基づき再開発事業の都市計画決定の変更がなされ,事業計画の変更と権利変換計画の知事認可を得て,16年3月に再開発ビルの工事に着手し,18年12月にオープンしました。そして,19年1月からイタリアのガレリアを彷彿させるドーム・アーケードやカラー舗装の整備を進め,商店街としての魅力向上に努めています。
(2)権利変換の仕組み
A街区の権利変換は,法110条の全員同意型を採用しており, 従前土地所有の形態を維持したまま保留床の商業床を取得した権利者等による共同出資会社である高松丸亀町壱番街 (以下「壱番街」という。)や住宅取得者等の建物所有者が,土地所有者と62年間の定期借地契約を締結することで 土地代を顕在化させない事業手法としています。
(3)運営スキーム
 A街区の再開発事業では,壱番街の事業採算性を最重点に議論し,転出者を極力なくした定期借地による安価な保留床価格とすることで, テナントは比較的低額な家賃で安定した収入の確保が可能となりました。
 また、権利者に支払われる商業床の家賃と土地の借地料は全店舗の売り上げに比例し、 テナントとして出店している権利者はもちろん土地所有者の収入も売り上げの良し悪しで増減するシステムとしており、 権利者も応分のリスクを負う,言い替えれば権利者も事業に参画する運営スキームとしております。
 
 丸亀町商店街振興組合では,再開発事業を手掛ける前から自ら町営駐車場の建設・運営やアーケードのリニューアル, 路面のカラー舗装やコミュニティ施設の整備などに取り組んでおり,17年11月には商店街と中心部の主要拠点を連絡する 「まちバス」を運行開始するなど,商店街の再生に積極的に取り組んでいます。 また,A街区に引き続きG街区の市街地再開発事業や他の街区の小規模連鎖による共同化やリノベーションを推進する計画であり, 本市においても,これら事業を本年5月28日に内閣総理大臣の認定を得た 「新高松市中心市街地活性化基本計画」における主要な事業として位置づけ, 官民が一体となって中心市街地の活性化を図ることにしております。
 
高松丸亀町商店街振興組合
副理事長 明石光生
 昭和63年の丸亀町開町400年祭での「100年後、丸亀町500年祭を迎えられる街をつくるんや」 という鹿庭幸男理事長(当時)の言葉が、再開発を始めるそもそものきっかけでした。それから平成元年に再開発の調査を始めて、 昨年12月にA街区の再開発ビルがオープンしました。丸亀町では商店街振興組合が再開発の後押しをしてきました。 振興組合がしなければならないことは、商売をする環境を良くするということです。そのためには商店街の中に、 というよりは高松市の中に広場が欲しい。そこで最初に広場にふさわしいと考えたのがA街区の場所でした。 振興組合は、この街がお客様にとって魅力的になることを目標にしています。 ですから、お客様に必要とされる店を揃えなければなりません。 商店街の仲間にとって競合店になるような店も再開発をきっかけに入ってきます。 僕らがするべきことは、高松で商売をするなら丸亀町がベストだと思われるような形を作り続けていくことです。 商店街仲間の利益を考えて競合を排除することではありません。 それをしてしまったら、「やっぱり、つまらない街だ」とお客様に思われてしまします。 A街区のオープンを受けて、周辺の街区でも再開発の機運が高まっています。 B街区やC街区ではA街区のように街区全部でまとまっての再開発ではなく、小規模連鎖型の再開発に向けて動き出します。 全員がまとまらなくてもスタートが切れることで、開発の期間が短縮して、その分コストが少なくて済みます。 市民が必要とする機能をきっちり入れ込んだ街に作り直して、 「四国に行ったら高松の丸亀町に寄ってごらん」と言われるような街をつくりたいと思っています。
 
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